友達?なのはとユーノ
それはなのはとユーノが管理局で働き始めて暫らく経ったある日の事。
ユ「一体、何でこんな事に・・・」
明かりの落ちたハラオウン邸のリビングでユーノは一人、頭を捻っていた。
いや実際には一人ではない、今現在ここハラオウン邸にはいつもより多くの人間が存在している。
ただ、頭を捻る人間がユーノ一人だけなのだ。
何しろ、
な「・・・ヒック、ユゥノくぅん♪」
今、彼に抱きついている少女のように、ユーノ以外の人間は、みんな酔っ払ってしまっているのだから。
■ユーノの退院パーティー 後
リビングのそこかしこから寝息が聞こえてくる。
どうやらパーティー参加者全員が眠ってしまったらしい。
かくいうユーノ自身も今しがたソファの上での目を覚ましたばかりだ。
だが、なのはのこの状態はいったいどうした事か?
確かにパーティーにはリンディやシグナムといった酒を飲む人間もいたが、
彼女たちが飲ませるはずも無いし、なのは自身が飲むはずも無い。
しかし、
な「ヒック・・・」
なのははしっかりと酔っ払っていた。
な「エヘッエへへェ♪ユ〜ノくぅん」
ユ「ぐ!」
ユ(お、お酒臭い)
首に抱きついたなのはから発せられるアルコール臭に顔をしかめるユーノ。
ユ(お花見で酔いつぶれたレティ提督と同じくらいの臭いがする!)
あの時のレティはワインを何本も空にしていた、
間違ってもなのはの様な年齢の人間が飲んでいい量ではない。
ユ「ちょ、なのは!大丈夫?」
な「ふぇ?ヒック・・・ひゃにがァ?」
ユ「な、何がってなのはがだよ、すっごくお酒飲んじゃったでしょ?」
な「・・・えェ?なにひっへるのォ?」
呂律が回ってない事からもなのはが相当酔っていることが分かる。
もし本当にあの時のレティと同等アルコールを摂取していたとしたら
と、なのはの事を心配して問いかけたユーノだったが、
酔っている所為かなのははユーノの問いに?を浮かべるだけだ。
ユ「あァ、もう!誰だよ?なのはにお酒なんて飲ませたのは・・・」
な「だれもォ、おさけなんへのんでないよォ〜・・・ヒック」
どうやら自分が酒を飲んでしまったことも解らないほどに泥酔しているらしい。
ユ「なのはが飲んでるんだよ、きっとリンディ提督とかのを間違えちゃったんだ」
な「きょうはのまらいからァ、おさけよういしてなかってゃでしょう〜?」
ユ「 ・ ・ ・ あ」
ユ「そう言えば、皆、明日早いからって禁酒になったんだっけ」
ならばなのはのこの様子は一体なんなのか?
眠りについている面々や周囲に目を向ける。
は「う〜・・・揉ませてェ・・・」
シャ「・・・ウフ、ウフフフフ」
フェ「うッ・・・ううッ」
ヴィ「うぃ〜」
間違いなく酔っ払っている。
宴会に疲れて眠りに就いたのではなく、全員酔いつぶれてしまっていたのだ。
・・・が、
ユ「お酒のビンは一本もない?」
周りに落ちているのはすべてジュースのペットボトルだ。
アルコールの類は一切存在していない。
ユ「え?じゃあなんで?」
な「アハァ、へんなユ〜ノくん♪ヒック」
ユ(皆が酔ってるのは間違いない、ひょっとしたら僕も酔って寝ちゃったのか?
でも飲んだのは全部ジュースみたいだし。
他に考えられるのは・・・食べ物に入ってた?
でも、料理にアルコールを使ったからってこんなになるわけないし・・・)
思いがけない事態の原因を解明しようと考えこむユーノ。
だが―
ユ(何か変なものでも食べたのかな?
・・・でも今日のパーティーで出たのはエイミィさんの料理だし。
後はレティ提督からの差し入れが)
突然―
な「ん・・・(ペロッ)」
ユ「のわああああああああァァァ!!!???」
なのはがユーノの首に舌を這わせた。
ユ「な、な、なななななな」(///)
な「ん〜・・・!ユ〜ノくん、こえおおきい、みんなおひちゃうよォ」
いきなり首筋を舐められれば誰だって大声を上げるに決まっている。
しかし、酔っ払いにはそんな常識など通用しなかった。
な「おしおひ〜♪(ペロッ)」
ユ「うァ!?」
あろう事か更に舌を這わせてきたのだ。
な「ん(ペロッ)、ん(ペロッ)」
ユ「ぐァ、や、やめ、ウハァ!なのは!やめて!!!」
な「む〜!ユ〜ノくんうるさい〜!」
いかにも不満そうな表情で文句を口にする。
ユ「ハア、ハア、う、うるさいって」(汗
酔っ払ったなのはにはユーノが声を上げる原因が自分であるという判断は付かないようだ。
ユ「と、とにかく舐めるの止めて」
文句を言うため顔を離した内に引き剥がそうと、抱きついているなのはの肩を押すが、
まだ痛覚遮断の魔法を掛けている状態で当分は通院する必要がある腕では力が入りきらず上手く行かない。
な「やだァ、もっろする〜!」
ユ「だ、駄目だって!」
な「するぅ!」
ユ「駄目!」
な「すりゅのォ!」
ユ「駄目!!」
どうやらなのはは舐めるのを大層気に入ったらしい。
諦める素振りなどまったく見せず剥がされまいとしがみついてくる。
な「む〜!!!」
ユ「ぐ、ぐぐ!」
二人の勝負は膠着状態に陥っていた。
な「・・・・あ」
不意になのはの力が抜けてそのままユーノから剥がれる。
ユ「な、なのは?どうしたの?」
突然力を抜かれたのと、なのはの表情に驚き思わず問いただしてしまうユーノ。
なのはの表情は先ほどまでと打って変わって満面の笑みを浮かべていた。
まるで、何かいい事でも在ったかの様に。
な「わかった・・・なめるのやめる〜」
ユ「ほ、ホント?」
な「うん」
さすがは酔っ払い、行動が突然だ。
ユ「た、助かった〜」
何故かは分からないが、
とりあえず止めてくれたようなので、ほっと胸を撫で下ろすユーノ。
だが安心するのはまだ早かった、何しろ酔っ払いの行動は常識外で突然なのだから。
な「きすにする〜♪」
ユ「うわ!?」
虚を衝かれたユーノはアッサリと押し倒された。
ユ「・・・・・き・・・・のは、・・・は、起きて」
な「ん・・・んう?」
ユ「なのは!お、起きた?」
な「ん〜、ユーノくん?おはよ〜」
高町なのはは朝に弱い、起きて数分間は頭が働かず目も殆んど瞑ったままだ。
だからこの状況にも気付いてないのだろう。
ユ「お、おはよう、なのは。あ、あの、早く離れて」
な「ふぇ?」
覚醒しきれていない脳では何のことかまったく解かっていないどころか、
そもそも疑問に思うべき点にすら気づいてないのだろう。
なぜユーノに起こされたのかも、そのユーノの声が異様に近くから発せられているのも、
自分が何かに抱きついているのにもだ。
ユ「お、お願い、なのは早く離れて、皆が目を覚ます前に」
な「みんなって〜?」
ようやく疑問に思う事が出て来たらしく、目を擦りながら開ける。
な「?」
寝ぼけ眼のなのはの目に見慣れないものが飛び込んでくる。
な「・・・あれ?私のベッドは?」
目の前にあるのは皮製のソファらしきものと・・・。
ユ「な、なのはのベッドは、なのはの家にあるんじゃないかな?」
な「へ?・・・ユーノ君?」
ユーノ・スクライアの顔だ。
しかも、異様に近い。
な(あれ?何?)
まだ上手く働かない頭で状況を確認しようとうつ伏せの体を起こす。
ユ「な、なのは早くどいて」
体を起こしたなのははユーノの体の上に座る形になった。
な「・・・え?・・・え!?」
急速にハッキリとしてゆく思考が、自分がユーノに抱きついて眠っていたとの答えを出す。
ユ「なのは、大きな声は出さないで」
ユーノに抱きついて眠っていた、いつものなのはなら何てことの無い事だっただろう。
だが、なぜかこの日のなのはは、その事にとても動揺してしまったのだった。
な「えええええええええええええええ!!!!!!!??????なんでェェェェェェェェェェ!!!!????」
ユーノの願いも空しく、なのはの声でハラオウン邸にいた全員の目が覚めた。
『ヤッホーリンディ、面白い差し入れよ♪
これ、見た目お菓子だけどお酒の一種なのよ。
摂取後、体内で発酵してアルコールを分泌するの、
だから子供達に食べさせちゃ駄目よ〜〜〜〜〜〜。』
レティ「あ、カード入れ忘れたわ」
おまけ
『えええええええええええええええ!!!!!!!??????なんでェェェェェェェェェェ!!!!????』
ク「う?・・・何だ?」
エ「ん〜・・・?なのはちゃん?」
ク「アァ〜・・・、確かになのはの声だっ・・・た・・・」
エ「・・・・・・・!?クロノ君?」
ク「エ、エイミィ!?」
エ「な、何で裸・・・?」
ク「・・・」
エ「・・・」
ク・エ「えええええええええええええええ!!!!!!!??????なんでェェェェェェェェェェ!!!!????」
ちなみにこっちの騒ぎのおかげでなのはとユーノの事は有耶無耶になった。
さらにおまけ
な「きすにする〜♪」
そう言いながらなのはが僕を押し倒した。
ユ「うわ!?」
いやそれよりも、なんて言った?
ユ「んぐ!?」
な「ん、んぅ」
ユ「ぷわ!な、なのは!」
な「えへへ、しちゃったァ」
あわわ、キ、キス、キス、キス、キス・・・・
ユ「な・・・なのは」
な「ハフゥ、ユ〜ノくぅん」
だ、駄目だ、そんな潤んだ目で見られたら・・・
な「――おやすみ〜」
ユ「――へ?」
な「くう〜、くう〜」
ね、寝ちゃった?
な「くう〜・・・」
どうやら本当に眠ったみたいだ。
ユ「・・・・・ふぅ」
ほっとした、いや、残念なような?
いやいやいや、何を考えてるんだ僕は。
とにかくまず落ち着こう。
ユ「―――これは、カウントしちゃ駄目だよなァ」
何しろあんなに酔ってたんだ、本気なのかもどうかも分からないし、覚えてないなんて事も考えられる。
覚えてたとしても酔ってた所為なんだから、なのはに責任は無いんだし。
とりあえず朝なのはを一番に起こして覚えてるかどうかを確認して。
それで覚えてないみたいならこの事は僕の胸の内にしまっておけばいいや。
そうすれば、何も問題ない。
な「んう〜」
ユ「ぐ?」
い、息が耳に!
な「すう〜」
ユ「んんぅ!」
まずい!なのはから離れないと!
ユ「よッくッアレ?くぅ!」
な、なんでェ!?
思いっきり力をこめて、なのはを引き剥がそうとしたけどなのははビクともしない。
いくらなのはが上で、しかも抱きついているからって寝ている相手を押しのけられないはずはない。
ユ「くぅ!このッ」
それとも僕の腕力はそこまで落ちているんだろうか?
な「んふ〜」
ユ「アッ!」
変な声出ちゃった。
まさか、ずっとこの状態が続くんだろうか・・・
ユ「なのは、起きて!」
な「す〜」
ユ「ふあ!!な、なのは!」
な「く〜」
ユ「ぅんン!!」
だ、だれかなんとかして〜〜〜〜〜〜〜〜!!!